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東京の銭湯

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東京の銭湯

↓かけ湯禁止

湯上がりの牛乳  かなり前の事になるんですが、私が東京に住んでいたころ、六畳とキッチンとトイレがある、いわゆる1Kアパートを借りていました。勿論、お風呂は付いておりません。今の東京では銭湯も少なくなったと聞くので、一人暮らしでもきっとお風呂付きのワンルームマンションがほとんどなんでしょうね。

 仙台の人からみると、余程貧乏にみえるかも知れませんが、当時の東京なんてそんなところだったんです。その後仙台に移り、アパートを探してみると、お風呂付きのアパートがほとんどで、風呂なしアパートなんて滅多にありません。まあ、銭湯も少ないですから。

 というわけで銭湯通いをしておりましたが、これが結構疲れるもんなんですよね。まず、お風呂が無いということは、水周りの設備がトイレとキッチンしかないので、洗濯機も置けません。なので、銭湯に行くときに洗濯物をカバンに詰めて出かけるのです。アパートから歩いて7、8分のところに2箇所銭湯が(別々の方向に)ありましたが、いつも行く方は銭湯の前にクリーニング屋があるので、そこにワイシャツとズボンを出し、銭湯に併設されているコインランドリーにその他の洗濯物を詰め込みスイッチを入れ、それから銭湯へ。‥これだけでも、あ~なんか疲れた~。

 銭湯には勿論、番台があり、お金を番台の上に置いて中に入ります。‥初めて行った時、テレビで見たのと同じだったので安心しました。番台に居るのはオジサンだったり、オバァサンだったり。番台からは脱衣所と脱衣所のガラス越しに浴室も見えるようになっています。オバァサンがいつも堂々と、裸の私を見ているのが気になりつつ(湯上り後に)腰に手をあててビンのコーヒー牛乳をゴックンゴックンと飲み干します。腰にタオルを巻いて、外の縁側で涼むのも最高でしたね。

 えーと、お風呂には熱いのと丁度良い湯加減の湯船があり、壁には「富士山の絵」ではない何かが描かれてあったように思います。今の私がそのお風呂に入ったならば「うわぁ、循環沸かし湯だぁ、ちょっと気持ち悪いなぁ」なんて思うかも知れません。でも当時は、そこが極楽。家のお風呂とは違って浴室も広く天井も高いので、とても気持ち良い空間なんですね。

 当時は入浴が体に与える影響なんぞ考えてもいなかったので、忙しい時なんてお風呂から上がってすぐに(休憩も水分補給もせず)、コインランドリーから(重くなった)洗濯物を取り出し、クリーニング屋からワイシャツを引き取り、エッサ、エッサと担いで帰ったものです。そんなもんですから、銭湯に行くのがとても重労働で、行くのがとても嫌になって来て。しかも、雨の日も、風の日も、寒い冬もですからね~。

 それから、夏なんて家にいても暑いし「ブー、光化学スモッグが発生しました」なんて放送(外のスピーカーから自治体が流す)も聞こえてきたりして、早く風呂に入りたいなぁと、午後4時(営業開始時間)になるのを首を長くして待っていたものです。あ~、またあの銭湯に入って見たいなぁ。そういえば(関係無いですけど)そのアパートの大家さんちも、お風呂が無かったようでした。

P.S.
 当時は銭湯の情報誌もインターネットも無く、銭湯のありかは煙突で探しておりました。東京の中野だったもので、住宅街からは、あの高い煙突が遠くからでも見えていたんですよね。

銭湯ではかけ湯禁止、体を洗ってから入浴!このurl

 先日、NHK教育テレビで放送されている銭湯の番組を見ていたら、とても驚きました。なぜか(?)、それは入浴前に「かけ湯」だけして湯船に浸かっていたからです。

 んー、なぜそうなるのか。もしかして、温泉に入るとき「かけ湯」をしなさい、という説明が多いから勘違いしたのか。実際、温泉で「かけ湯」をするのは健康面を考慮してそう言っているのであって、また温泉はかけ流しで湯船のお湯が常に入れ替わるのが前提にあり、しかも湯船が広いこともあって清潔が保たれているからの「かけ湯」なのです。

 これを都会の湯船が小さくて大勢の入る四角い箱に適用されては、いくら循環ろ過しているとはいえ、汚れて、たまったものではありません。そう、銭湯に入るときは「先に身体を洗ってから」お湯に浸かる、これが基本です。そうしないと、怒られます。絶対。

 あ、温泉でも場合によっては先に身体を洗うべきところも。

p.s.2
 その後、この番組の2つ先ぐらいのシリーズでは「お風呂は身体を洗ってから入りましょう」としゃべっておりました。

※かけ湯のことですが、身体を洗う意味なら、今なら基本はシャワーで、シャワーが無ければ〝かけ湯〟でしょ。
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