東北な温泉
~ 温泉の種類と効能 ~

温泉Top コラム・ほか

温泉の種類・効能

記号/温泉の種類 メモ・効能
(a)
単純泉
含有成分が1.000mg未満
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この温泉は、療養泉(医学的に治療効果のある温泉とされるもの)の規定成分が薄いので単純温泉と呼ばれる。入浴してみると、濁った温泉や鉄臭い温泉など色々違いがあるし、有名な温泉もある。
▽適応症(環境省)
(e)
塩化物泉
陰イオンの主成分が塩素イオン
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日本で一番多い。熱伝導率が高いため入浴時はすぐさま温まる。また入浴後は塩分が肌に付着して汗の蒸発を防ぎ、保温効果が高い。温熱効果によって血行が良くなる。が、石鹸の泡立ちが悪い。
» 海水の塩素イオン濃度は約19g/kg、ナトリウムイオン濃度は約10g/kg、pHは約8.1。
» 塩水は真水より重いので水でうめても混じり難いかも。
» 鉄分が含まれるお湯だと、サビた色(茶色)になる。
▽適応症(環境省)
(d)
炭酸水素塩泉
陰イオンの主成分が炭酸水素イオン
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・重曹の働きで皮膚の表面を軟化させるため、皮膚病に効果がある。お風呂から出たとき、さっぱりとした清涼感があり、塩化物泉(食塩泉)とは反対に「冷の湯」とされている。また、保湿効果があり肌がしっとり。
・重曹は元々アルカリ性で、熱を加えると強アルカリ性になるが、温泉水上では中性だったりするから不思議。重炭酸と呼ばれることもある。
▽適応症(環境省)
(f)
硫酸塩泉
陰イオンの主成分が硫酸イオン
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硫酸イオンは 血液に多くの酸素を送り込む作用あり。
神経痛、胆道疾患や便秘に効果、糖尿病、痛風の改善
サルフェートとも呼ばれるもので、飲用のミネラルウォーターとしても注目されている。
▽適応症(環境省)
(b)
二酸化炭素泉
遊離炭酸1,000mg以上
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・日本では少なくて、貴重な存在。たとえ低温でも湯上がりの肌は紅潮し、温まる特性がある。
・脂や汚れを気泡に吸い付けて取り去ることから、最近はエステ・銭湯・温浴施設などでの人口炭酸泉の導入が多くみられる。そう、よく見かける人工炭酸泉は、この二酸化炭素泉なんですね~。
毛細血管を拡張、血液循環の促進、血圧低下作用あり。飲泉では、便秘に効果あり。食前3回と就寝前に飲む。150mlまで/1回。
・二酸化炭素が水に溶けると弱酸性になる。酸性雨とか。酸性泉とか。
▽適応症(環境省)
(i)
含鉄泉
総鉄イオン(鉄Ⅱまたは鉄Ⅲ)を20㎎以上
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湧き出した時は透明、その後サビて変色し茶色に。人間の造血作用に欠かせない重要な成分、皮膚からもよく吸収される。
▽適応症(環境省)
(k)
酸性泉
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・酸性度が強く、刺激が強いので皮膚の弱い人には危険。抗菌力が優れている。 アトピー性皮膚炎の黄色ブドウ球菌の殺菌に良い。白人は肌が弱いのでダメか。
・酸性泉には亜鉛とマンガンが含まることが多く、これらは入浴時に皮膚から取り込まれ、それによってインスリンの作用が高められ、血糖値を下げる効果が現れる。テレビ番組での実験を見たら、血糖値100ちょっとの人が10~20下がっていた(二泊三日、普通に旅館の料理を食べて)。
▽適応症(環境省)
(h)
含よう素泉(new)
よう化物イオンを10mg以上
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環境省のでは、飲用で高コレステロール血症に良いと。2014年に新たに追加された泉質。
▽適応症(環境省)
(j)
硫黄泉
総硫黄(硫化水素イオンHS-、チオ硫酸イオンS2O3--、遊離硫化水素H2Sの合計が)2㎎以上
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・地上に出てきた時は透明に近くて、酸化すると白濁する。鼻にツンとくる硫黄臭がし、気体系を硫化水素型と呼ぶ。→ 実は硫黄は無臭で、匂いがあるのは「硫黄と水素の化合物である硫化水素」なのだそうな。
・効能多いが、効力きつい。慢性皮膚病糖尿病に効果あり(硫黄成分はインスリンの生成を助ける)。またメラニンを分解するとも、漂白作用があるとも。
>湯上りにはシャワーで硫黄を流した方がよいでしょう。2,3日匂いが取れないし、服にも匂いが。自分じゃ気付かない場合もね。
▽適応症(環境省)
(l)
放射能泉
ラドンを20キューリー以上
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・ホルミシス効果(生物に対して通常有害な作用を示すものが、微量であれば逆に良い作用を示す生理的刺激作用)があるとされる。
・湯の中から放出されるラドン(気体)は呼吸とともに体内に取り込まれる。もう一つのラジウムは水溶性。
1キューリー(10^-10 Ci):3.7ベクレル(Bq)
▽適応症(環境省)
(o)
人工温泉
トルマリン、ラドン、明光石、ヘルストン、麦飯石温泉などがある。
(c)
その他
湧水、井戸水、水道水、その他
共通)
  • カルシウムイオン炎症の鎮静作用
  • カリウムイオン神経信号の伝達や細胞内浸透圧の調整
  • マグネシウムイオン炎症の抑制効果、肌の新陳代謝を促進して肌を整える。入浴剤にも入っていたりする。
  • ナトリウムイオン:角質化した 皮膚の乳化作用、ホルモンバランスを整えるので 更年期障害に良い。
  • アルミニウムイオン(旧・明ばん泉): 傷の治癒を促す、殺菌作用。また、アルミニウムは酸性ではイオン状態で透明だが、中性になるとケイ酸塩と結合してコロイド粒子になり、青く見えるそう。
  • 硫酸塩泉:無色透明で、温泉か?と疑ってしまう、せっけんの泡立ちが悪い。
  • (旧・緑ばん泉or炭酸鉄泉): 殺菌作用
  • ホウ酸目の洗浄に実際に使っているらしい。
  • メタケイ酸(シリカの湯): 体をコーティングしてあたためる、保湿効果(化粧品にも使われている)、肌の新陳代謝を促進。
    • 兵庫県の湯村温泉はこのメタケイ酸が多く含まれ(192mg)、温泉水を使って洗髪した後は髪がいい感じになり、リンスがいらないんだとか
    • 整胃剤のパンシロンにもメタケイ酸(240mg)が入れられているそう
    • メタケイ酸の効果で、熊本の「わいた温泉」のお湯の色がブルーになっていると‥(どこだったかのエライ先生もメタケイ酸は青色になると言っておりました)
    • 東北ですと、鳴子温泉(例えば赤這温泉・阿部旅館:497mg)、遠刈田温泉(例えば.まほろばの湯:242mg)、蔵王温泉(例えば源七露天の湯:250mg)などが挙げられますね
  • アルカリ性の温泉: 皮膚の角質を溶かしキレイにする。長く入りすぎると体に悪く、短いと効果がない。10~15分くらいが良いと言われている。手の指紋がツルツルになる。
    (pH7.5~8.5:弱アルカリ性、pH8.5以上:アルカリ性)
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  • 打たせ湯:肩たたき&加温効果で肩こりに効く。実際に硬度計で測ったところ、31→20(5分後)。
  • 寝湯:何の効果があるんだと思う寝湯も、深く沈まない分、水圧の負担が少なく、血流が良くなる効果がちゃんとあり。
「追記」
(1)浸透圧
低張性(溶存物質総量:8g未満/kg)
等張性(溶存物質総量:8~10g/kg)
高張性(溶存物質総量:10g以上/kg)

>ほとんどの場合、ナトリウムイオンと塩化物イオンの濃度を表しているといっていいくらい。なので、これはナトリウム-塩化物泉の濃さなのだとも。
pH3未満:酸性
pH3~6:弱酸性
pH6~7.5:中性
pH7.5~8.5:弱アルカリ性
pH8.5以上:アルカリ性

冷鉱泉:25℃未満
低温泉:25℃以上34℃未満
温泉泉:34℃以上42℃未満
高温泉:42℃以上
(2)熱い湯
「熱い湯」に浸かると、自律神経の 交感神経が優位になり、目が覚めてシャキッとします。

 最近では、42度のお湯に5分くらい浸かると、熱ショックたんぱく質が増えて細胞の修復機能が増し、シミ・シワなどが改善される、などとも言われています。‥また、ぬるい湯に長く使っても同じような効果があるというので、ややこしい。

(42度が自律神経の境界線なので)

 気管支炎・鼻炎には42度で5分が良いと。

 ---

 ただ「熱い湯」は以下の危険にもご注意ください。
  • のぼせによる’ふらつき’(転倒)
  • 血栓ができやすくなる(42℃以上での長湯)。42℃で血を止める血小板が刺激されてしまうのだと。
  • 忘れてはいけない、熱中症
  • 心臓が悪い人を無理に誘ってはいけません
  • 20代と60代では5度ほどの感覚が違うという
ぬるい湯
「ぬるい湯」に浸かると、、自律神経の 副交感神経が優位になり、血管が開いて全身の細部にまで血液が行き渡ります。そして心身がリラックスして眠くなったりします。

 まあ、いろいろ諸説ありますが、15分ぐらい浸かったら上がった方が良いとも。(湯あたりとか、自律神経が乱れている人への影響も考えてだったような)。

(42度が自律神経の境界線なので)

 肩こり・腰痛には、熱いお湯ではなくて、41度で10分が良いと。

 冷え性には、41度で15分が良いと。
・また、汗をかくくらい浸かると体温が上がり、 免疫機能が活性化されると言われています(41度が良いと)。
血圧
 あ、そうそう、血圧系の考慮も必要ですね。私がテレビ(NHK)で見た知識では、熱いお湯(42度)に入ってすぐは(裸で寒い所に出たときも同じ)血管が収縮し血圧が急激に上がり、その後徐々に血管が広がって、血流が良くなるというものでした。まあ、出だしのところが危険なので、かけ湯をしましょうということでしょうか。
飲泉)
☆飲泉は「飲泉可」の表示、または飲泉場のあるところで飲みましょう。
ちなみに、
・ヒ素の環境基準:0.01ミリグラム以下(水1リットルあたり)。これを超えている温泉、時々見かけます。

高山の温泉)
 山の上にある温泉は、体力強化向き。標高1000メートルを超えるようなところは空気が薄く、気圧も低いので、交感神経を刺激して身体が興奮状態になるそう。
(3)よく出てくる温泉用語など)
  • アブラ臭: 石油系の匂いで、ビニールに似た匂いや、クレゾールに似た匂いの時もある。
  • クレゾール臭:ときには「ヨード臭」と言っている人も。ヨードチンキの匂いだから。
  • モール臭: 基本的にアブラ臭の一種で、ウイスキーの甘い香りのような匂いがする。
  • モール温泉: モール泉とも言う。ドイツ語が起源で、泥炭や亜炭層から湧き出る茶色~黒っぽい温泉を言う。東京の黒湯が有名で、東北では福島の天神岬温泉、宮城では三本木、秋田の八郎潟付近、青森の東北温泉などがそうであると思います。一般にこれらはフミン酸(腐植物質を元にする)によるものと言われているようです。
  • 笹濁り: 温泉通の人がよく使う言葉ですが、釣り人が使用する言葉の「笹濁りの川」(少し濁った川)を語源とするものではないかと思われます。また、昔、酒のことを「ささ」と呼んだことから、日本酒で少し濁った酒のことを笹濁りの酒と呼んだりしますね。この場合、色は白でややっこしくなります。なので、私は「笹色に濁ったお湯」と表現しています。
  • 硫黄臭:「硫黄の臭い」は、硫黄と水素の化合物である”硫化水素”によるものだそうですが、当サイトでは便宜的に、またみなさんが分かりやすいように”硫黄臭”としています。
  • ワニ:(混浴)風呂で朝から晩までジッと動かず、獲物を待っている動物。
  • 塩素消毒:よく使われる次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性なので、入浴後に肌がツルツルになってしまうのは、そのせいもあるのかな~と(いや、濃度が低いので肌で感じる程振れてはいないかも)。あと、ハイターなどの塩素系洗浄剤は強アルカリ性なのでヌルヌルするんですね~。
     あと、レポート中で「メガネに白い析出」が付いたなどと書いておりますが、それは塩素消毒の次亜塩素酸カルシウム(中性)のせいだったのかな~と今では思います。
  • 一浴めの気泡:お風呂に入った第一浴めは、気泡が身体にたくさん付く場合があります。このときに身体をこするとヌルヌルする肌触りになり、アルカリ性か炭酸水素の湯と間違えることが。わたくしも過去の記事で間違えて書いていたことが多々ありました。
  • さら湯:ただのお湯。さら湯は一般的には一番風呂のことを言いますが、温泉業界では「温泉に対して只のお湯」という意味で使用することが多いです。
  • 野湯(のゆ、やとう):秘境にあるような、管理されていない温泉。
  • 湯の花(スケール):硫黄華、硫酸塩華、石灰華、珪華などに分類されているようです。よく見かけるのは石灰華(トラバーチン)。んと、硫酸塩華は北投石。
p.s)
  • 入湯税は地方税法で150円が標準とされておりますが、各自治体が勝手に増減できるとな~。
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